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特集記事:
中国とインドの製鉄所向けのムーグの最新ソリューション

文書:Lance Li(中国ムーグ重工業ビジネス開発マネージャー)、K S Shiva Kumar(インドムーグ地域営業部長)

この新しい幅1750ミリ厚板
熱延生産ラインでは100台
以上のムーグサーボ弁が
使用されています

製鉄所はときどき「旧式」の製造施設だと勘違いされますが、新設あるいは改良において最新のモーション制御技術が採用される例がよくあります。厳しい環境の中で最新技術が使用されるという意味で、製鉄所は面白い課題です。製鉄所は、高熱、ほこりにさらされ、24時間運転されるという厳しい環境です。ムーグ社には、世界的に有名なほとんどの製鉄所にサーボ弁やサーボ比例弁を納入してきた実績があります。本記事では、拡大しつつある中国市場での特殊用途向けソリューションと、インドでの改良プロジェクトで使用されたムーグ社の最新ソリューションを紹介します。

中国の鉄鋼産業

中国が世界一の鉄鋼生産国であることは疑いの余地がありません。2006年の中国の粗鋼生産高4億1800万トンで、世界の全粗鋼生産高の1/3以上を占めます。重工業への投資総額は約2128.8億人民元(269.5億米ドル)です。過去10年間に、中国の鉄鋼産業における技術は大幅に向上しました。製品構造が常に最適化され、国際競争力が高まりました。国内と国外の両方の需要動向から、2007年は粗鋼生産量が10%増えると予想されます。

中国の鉄鋼業界において最近以下のような進展が見られました。

  • 北京に拠点を置く鉄鋼大手のShougang Groupは、河北省(Hebei)の唐山市(Tangshan)への大規模な移転を2010年の末までには完了させます。
  • Shanghai Baoshan Iron & Steel Corporation (Baosteel)は、中国南部の湛江市(Zhanjiang)に新しく製鉄工場を建設しました。
  • Wuhan Iron & Steel Corp.は、中国南部の防城港市(Fangchenggang)に最新式の製鉄工場を建設しました。
  • Angang Steel Co. Ltd.は中国北東部の営口市(Yingkou)に新プラントを稼動しました。

このような状況はムーグに更なる発展の機会を与えており、以下に中国で最近関わった2つの案件をご紹介します。

パイプ切断機(カッターフィーディングシステム)

中国の大手鉄鋼メーカーがパイプ圧延生産ラインを新設し、特殊なパイプ切断機を必要としていました。このスチールパイプの直径は220ミリを超え、サイズも様々です。ここで問題となったのは、圧延後のパイプの長さが20メートルにも及ぶことでした。ここで使用されるパイプ切断機は、通常の旋盤とは異なり、ジグがパイプをクランプしながら回転し、カッターがパイプの方に切り込むことでパイプを切断します。

この問題を克服するために、X’ian Heavy Machinery Research Instituteは、長いパイプを固定するための長いホルダテーブルと、パイプの周囲を回る複雑な回転カッタヘッドを備えたパイプ切断機を設計しました。カッターは回転ヘッドに取り付けられており、サーボアクチュエータがカムを介してカッターのパイプへの精密な切込みを制御します。切断工程でのパイプの公差と、カッターの高速回転を考慮すると、品質を保証し、パイプとカッターの両方を損傷しないように保護するためには切り込みの位置と速度制御が重要となります。

中国ムーグは、X’ian Heavy Machinery Research Instituteにサーボアクチュエータ、M3000サーボコントローラシステム、ムーグ軸制御ソフトウェア(MACS)を納入しました。カッターの切り込みに使用するカムは非線形なので、求められる切断品質とサイクル効率を保証するためには、アクチュエータはカスタマイズされた位置速度カーブを忠実に守る必要がありました。例えば、カッターは最初にパイプにそっと触れる必要がありますが、切断中は速度が一定でなければなりません。この新しいシステムはお客様にもうすぐ最終引渡す予定です。

ムーグサーボアクチュエータの図面
ムーグサーボアクチュエータの図面

中国のCISDI Engineering Co., Ltd(AGCアクチュエータ試験)

10年ほど前、中国の設備メーカーが、大型で、高応答で精密な自動板厚制御(AGC:automatic guage control)向けアクチュエータを装備した圧延機の製造に着手しました。最近では、多くの設備メーカーが同じような高応答のシステムを製造するようになりました。従来は、摩擦、力、滑らかさ、速度、圧力といったパラメータごとに、シリンダやサーボ弁などの個々の構成部品単位で性能を評価するのが一般的でした。この高速厚板熱延システムで採用されている油圧AGC制御向けのサーボアクチュエータでは、個々のコンポーネントの性能を評価するだけではなく、システム全体の性能を評価するためにサーボループがどのように機能するかを理解する必要がありました。

2005年、中国のCISDI Engineering Co., Ltd (CISDI)は、幅1750ミリ厚板熱延プロジェクトへの協力をムーグに依頼しました。このプロジェクトでは、全てのサーボクローズドループ機能をカバーすべく、この生産ラインで約100台のムーグサーボ弁が使用されました。ムーグは、M3000デジタルサーボコントローラとMACS制御ソフトウェアを提供することで、アクチュエータの現場性能試験ソリューションの設計に貢献し、ムーグは、油圧システムメーカーのBeijing MECC Hydraulic Co. Ltd.と協力して現場性能試験を無事に終了することができました。

このアクチュエータに関しては、位置精度、ヒステリシス、ステップ応答、周波数応答などのパラメータが試験されました。これらの試験によって、CISDIはAGCアクチュエータシステム全体を理解することができ、お客様である製鉄所への円滑な設備立ち上げを可能にしました。

AGCアクチュエータ性能試験で使用されたM3000デジタルサーボコントローラのインタフェース

AGCアクチュエータの
ステップ応答試験記録

インドの鉄鋼産業

インドの鉄鋼産業は約100年の歴史があり、1907年にTata Iron and Steel Co Ltd(TISCO)が最初の総合的な製鉄所を立ち上げました。インドの鉄鋼産業はその後成長を続け、今では鉄鋼生産高が世界で第9位になりました。インドの仕上げ鋼生産量は1951年にはわずか1.1トンでしたが、現在では3800万トンにまで達しました。これまでは鉄鋼産業の成長は公共事業によるものでしたが、1990年代には状況が大きく変化し、主として民間事業主体となりました。

現在のインドの鉄鋼政策の長期目標は、現代的で効率的な鉄鋼産業を確立し、様々な鉄鋼需要に対応できるようにすることです。さらに、2019~20年までに毎年1億トン以上の生産を達成することです。

以下にムーグがインド国内で行った設備の改造の一つをご紹介します。

Mukand LtdのHospet事業部(ビレットキャスタ改造プロジェクト)

最近ムーグがインドで手掛けた製鉄所の設備改造プロジェクトの一つは、Hospet Steelとして知られているMukand Ltdのビレットキャスタを挙げることができます。この製鉄所は10年の歴史があり、ビレットとブルーム連続鋳造鋼を製造しています。現在の製造能力は40万トンで、今後3年間で100万トンにまで増やす計画です。

Hospet Steelは技術と環境の両面で達成の困難なソリューション要件を抱えていました。具体的には、気泡(ブローホール)の発生を防止することで品質を改善し、自動成形レベルコントローラ(AMLC)を導入することでビレット鋳造の生産性を向上させたいと思っていました。また生産量の高い環境において人的エラーを無くすために手動システムから自動システムに改良することも必要でした。ここで重要なことは、そのソリューションは丈夫でなければならず、粉塵が多く湿気が高いという悪条件に耐えられることでした。Hospet Steelは、技術、修理/スペア、トレーニングの各サービスといった長期的なローカルサポートを必要としていたので、実績のあるローカルベンダーを使用したいという希望がありました。

マニフォールドブロック(アクチュエータ付き) マニフォールドブロック
(アクチュエータ付き)

Hospet Steelは、上記の条件を満たし、革新的なターンキーソリューションで実績があるムーグにこのプロジェクトを任すことにしました。そしてムーグが提供したのは油圧マニフォールドブロックとサーボアクチュエータ(D633サーボ弁とM3000サーボコントローラ)でした。さらに、MACSソフトウェアのサンプルトレース機能を使用してカスタマイズしたソフトウェアを作成しました。

このAMLCプロジェクトは、高い精度で液状溶融金属を制御できたということでお客様から高く評価されました。生産サイクルが劇的に改善され、故障することなく99%という高い操業率が達成できました。とりわけ大切なことは、ビレット鋼の需要増に合わせて生産量を高めたにもかかわらず、製品品質が一層向上したことです。

著者について

Lance Liは、重工業ビジネス開発マネージャーで、10年前に入社しました。油圧業界での経験は20年以上に及び、ムーグに入社する前は大学の教授でした。

K S Shiva Kumarは、インド南東部とその他SAARC加盟国の一般産業営業担当です。14年間の油圧経験があり、一般産業向け用途の中でも特にクローズドループ電気油圧制御に精通しています。