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特集記事:
鉄鋼産業におけるMoog Flo-Tork製ラックピニオンアクチュエータの活用事例

文書:Thomas Czeppel(ドイツムーグ、EMシステムマネージャー)

ムーグは、10年以上前から発電用途向けにモーション制御システムを提供し、ガスタービンや蒸気タービンのトップメーカーから、信頼できるパートナーとして評価されています。これまで世界中の1,000を超える発電所に対して、10,000台以上のサーボ弁を提供してきました。現在ではタービン制御のさまざまな用途向けに、制御アセンブリーのパッケージや油圧式・電気機械式の独自製品を製造しています。ムーグは、安全性の向上、稼働時間の最大化、省スペースといったタービンメーカーの設計ニーズを熟知しているだけでなく、モーション制御システムの導入時の立ち上げ、通常運転、メンテナンス、トラブルシューティングの支援を通じ、多くの発電所の効率的な運転に貢献してきた実績を持っています。

背景

電力業界では、メンテナンス時間や立ち上がり時間を含む性能評価指標が稼働率に密接に結びつきます。従来、タービンに搭載されるプロセスバルブは、大部分が油圧でしたが、次のようなメリットから、電力業界には電気機械式バルブの利用が推奨されます。

  • 高圧作動油の漏れによる火災の危険性がない
  • 配管と分散型電源ユニットが不要になる
  • タービンコントローラから独立した分散型インテリジェンス機能により、さまざまな診断機能の搭載と設定の簡素化が可能になる
  • 予測型システムにより、予防保守を推進できる
  • 電気機械的式システムは、油圧式システムと比較して総所有コスト(TCO)が低く抑えられる

電気機械的システムの課題

ガスタービンの主要なパラメータは、バルブ出口の開放/遮断で制御します。緊急事態には、タービンへの重大な損傷を防止するため、ガス圧に逆らい、バルブを閉じる必要があります。電力業界では、このような安全確保を目的としたバルブ遮断を、バルブに組み込まれたスプリングを利用して行っており、このスプリングは油圧バルブ内で、バルブの運転中に絶えず作動するようになっています。初期の電気機械式システムでは、この動作を模した設計が採用されました。しかし、機械の噛み込みの危険性やバルブ遮断動作に対する最大許容時間について安全面での課題が残り、結局は成功しませんでした。また、それ以外にも問題はありました。従来と同じ方式の駆動装置を採用すると、負荷伝達経路に追加されるバネのサイズが大きくなり、これに合わせてドライブ、モーター、アクチュエータ等も大型化して、既存のソリューションよりも割高になってしまうという点でした。

特許も取得済みの革新的なソリューション

ムーグでは、業界のトップ企業との共同作業を通して、このような用途についてのニーズと課題に対する理解を深めてきました。設計についての建設的なフィードバックをお客様にヒアリングし、最終的な設計に至るまで幾度も修正を重ねることで、ソリューションのコンセプトを練り上げたのです。

私たちは、開発の初期段階で作動システムを2つの機能的部分に分割することにしました。1つ目は、タービンコントローラから送信される目標位置に基づき、バルブを開放/遮断することで精密位置制御を行う、通常運転用の部分です。2つ目は、スプリングによる安全機構です。このスプリングは、バルブの標準動作により圧縮され、磁気クラッチによって圧縮状態のまま固定されます。

ムーグは従来の電気機械的システムの設計上の課題を、次のような設計技術の導入により克服しました。

  • サーボドライブ、サーボモータ、アクチュエータを、プロセスに必要な最小限の出力に対応したサイズまで小型化した
  • 磁気クラッチの電源が切れた場合に作動するフェイルセーフを搭載。可動部の重量が小さいため短時間の遮断が可能となり、後退動作機能を不要にした
  • トグル装置を応用した新技術により、磁気クラッチのサイズを最小化した

2つの機能的部分の概略

まとめ

ムーグがこのような用途に向けて導入した新技術は、全世界で特許を取得することができました。現在、この安全装置は小型ガスタービンへの搭載テストが行われています。また、モジュール式設計を採用することにより、大型ガスタービンや蒸気タービンへの搭載も可能になります。ムーグが開発したソリューションは、電動タービンに向けた電力業界の取り組みにおける主要な課題を解決し、今後も同業界に貢献していきたいと考えています。

Thomas H. Czeppelは、欧州を拠点に電気機械的技術を利用したソリューションの開発と応用を担当しているマネージャーです。ムーグに入社以来11年間、ドイツと米国でエンジニアリングやその応用に関する業務に携わってきました。エスリンゲン大学の精密工学部を卒業し、シュツッツガルトのSIMTにおいてMBAを取得しています。

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