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特集記事:
鉄鋼産業におけるMoog Flo-Tork製ラックピニオンアクチュエータの活用事例

文書:Tom Leaver(Moog Flo-Torkセールスマネージャー)、Allen Ruef(Moog Flo-Torkシニアセールスエンジニア)

ムーグでは、合理的な企業買収を戦略的に推進し、企業としての規模を拡大するとともに、提供可能なテクノロジーのオプションを拡充しています。ムーグは、当社のこういった活動と、お客様の機械の性能を向上させるムーグの新たなソリューションについて、より多くのお客様に知っていただきたいと考えています。そこで今号では、このたびムーググループに加わったMoog Flo-Torkに焦点を当ててご紹介します。Moog Flo-Torkは、工業分野の重要なテクノロジーの1つである、ラックピニオンアクチュエータの提供を行っています。

Moog Flo-Torkのラックピニオンアクチュエータ 写真1:Moog Flo-Torkの
ラックピニオンアクチュエータ

Moog Flo-Torkの概要

Flo-Torkは、従来から海軍向け製品の製造で知られていましたが、2005年にムーググループの傘下に入ってからは、より一般的な産業分野の市場に対しても技術製品を提供しています。油圧機器とバルブ作動用機器などをターゲットの市場としています。Flo-Torkが製造するラックピニオンアクチュエータ(写真1)は、ムーグのサーボ弁、ポンプ、マニホールド、制御機器といった製品ラインと補完し合い、完成されたシステムを提供することができます。出力トルクは最大5,650,000 Nm(50,000,000 lb-in)までの幅広い製品を取り揃えており、カスタマイズされたアクチュエータを提供することで、さまざまな産業分野のモーション制御のニーズを満たしています。

Moog Flo-Torkの製品は、消防、固形廃棄物処理、海底油田、ガスや石油のパイプライン、再生エネルギー、鉄道などをはじめとする幅広い産業分野で利用されていますが、この記事では、鉄鋼産業での活用例をご紹介します。ムーグでは、これまでも世界各地の鉄鋼関連の企業に対してサーボ弁やサーボ比例弁、モーションコントローラ、リニアアクチュエータなどの高性能ソリューションを提案し、お客様から高い信頼を得ていますが、現在ではこれらの品目に加え、ラックピニオンアクチュエータの提供も可能となっています。

Moog Flo-Torkに関するその他の詳細情報については、記事「なるほど!」もご参照ください。

 

鉄鋼産業におけるラックピニオンアクチュエータの活用事例

Moog Flo-Torkは、モーション制御のさまざまな課題に対して、ソリューションを提供します。鉄鋼産業には、Moog Flo-Torkの問題解決能力の高さを裏付ける事例が豊富です。

はじめに、圧延工場でのラックピニオンアクチュエータの活用事例をご紹介します。この工場では、分塊圧延機のエッジガイドを作動させる電動駆動系に衝撃荷重がかかり、これによって圧延ラインのダウンタイムが発生するという問題に悩まされていました。このラインでは、圧延前のスラブを再加熱炉によって加熱しており、スラブは再加熱炉を出ると、コンベヤー上に滑り出るようになっています。これを整列セクションに導き入れるためには、スラブの位置と方向を調整する必要があります。このため圧延機のコンベヤーには、横からスラブの位置と方向を調整するガイドバー(エッジガイド)のセットが取り付けられています。

当初、エッジガイドの駆動システムとしては、電気モーターとギヤボックスを組み合わせたものが取り付けられていましたが、再加熱炉から出てくるスラブがエッジガイドに衝突し、その衝撃負荷はモーターとギヤボックスに伝わっていました。この衝撃負荷のもとで使用を続ければ、いずれは部品交換が必要となるため、保守費用を増大させる原因となっていました。

そこでFlo-Torkは、既存の取り付け面に装着できる、出力112,979 Nm(1,000,000 lb-in)の油圧式ラックピニオンアクチュエータ(写真2)を設計しました。このシステムには衝撃負荷を緩和するための比例弁が搭載されており、アクチュエータが4~20 mAの制御電流によってエッジガイドピニオンを360度回転させ、エッジガイドの位置決めを行います。

これにより衝撃負荷が軽減され、このシステムは10年間、停止することなく稼働を続けています。

圧延工場内の油圧式ラックピニオンアクチュエータ 

写真2: 圧延工場内の油圧式ラックピニオンアクチュエータ

 

次にご紹介するのは、連続鋳造ラインにおける典型的な活用例です。画像1にそのメカニズムが示されています。

タンディッシュからレンガを除去する排出メカニズム 

画像1:タンディッシュからレンガを除去する排出メカニズム

連続鋳造ラインでは、溶けた状態の鉄を溜めておくために、「タンディッシュ」が使われます。これは、大きな樋(とい)のようなもので、連続運転を可能にするために、大量の鋳湯を保持することができます。タンディッシュの底には4~6個の穴があり、そこから連続鋳造機へと鋳湯が供給されます。

鋳造作業を終了する際には、タンディッシュ内から、スカルと呼ばれる硬化した鉄とスラグ(鉱滓)と、耐火レンガを除去する必要があります。この作業は、タンディッシュを下向きになるように回転させて行います。Flo-Torkのアクチュエータは、この排出システム向けに利用されており、業界の多くの企業が出力85,000~176,000 Nm(750,000~1,500,000 lb-in)のアクチュエータを採用しています。

次に、I型鋼鋳造機械の冷却ベッド(写真3)への活用事例をご紹介します。I型鋼は、冷却を効果的に行うため、立てておく必要があります。当初の設計では、クレビス式取り付けシリンダーがアームを持ち上げ、これによってI型鋼を立たせる方式を採用していました。しかし、シリンダーが位置ずれを頻繁に繰り返したため、常にメンテナンスを実施しなければなりませんでした。

I型鋼鋳造機械の冷却ベッド 

写真3:I型鋼鋳造機械の冷却ベッド

相談を受けたMoog Flo-Torkでは、出力112,943 Nm(1,000,000 lb-in)のアクチュエータ6台を使用するソリューションを提案しました。6台のアクチュエータをピニオン軸によって連結する独自の機構を採用し、すべてを同時に動作させることによって、負荷が均一に分布するようにしたのです。負荷が不均一に分布する条件下において複数の油圧シリンダーを同期させることは、油圧技術が登場してから現在に至るまでずっと、困難な課題とされてきました。しかしこのソリューションでは、Moog Flo-Tork製アクチュエータを共通のピニオン軸によって機械的に連結することで、この課題を解決することに成功しました。

鉄鋼産業におけるアクチュエータのその他の活用例には、次のようなものがあります。

  • 脱ガスフード旋回機構―― 脱ガス時の熱を調整するために取鍋上に配置するフードの位置決めをアクチュエータが行う
  • ロールチェンジングテーブル――ギヤボックスと電気モーターをアクチュエータに換える
  • 転炉排気系バタフライ弁――制御性能向上のため、シリンダーの代わりにアクチュエータを導入
  • アップエンダ―― コイルを立ておよび横に置く位置決め用にロータリーアクチュエータを利用
  • ウォーキングビーム型加熱炉――ロータリーアクチュエータと調和運動を利用して炉内のスラブを前進させる。シリンダーに代わって偏りのないモーション制御を実現
  • 炉のドアの開閉機構――シリンダーに代わり、アクチュエータが滑らかな動作を実現

 

 

まとめ

鉄鋼産業では、モーション制御に関連するあらゆる課題を克服する上で、ムーグのテクノロジーと応用技術における経験は大きな力になるという認識が、多くのお客様の間に広まっています。ムーグは、工業、航空宇宙、医療などのさまざまな分野におけるモーション制御に特化し、きわめて厳しい要件に対応する製品やサービスを提供しています。その過程でムーグの技術者達が経験を通して学んだ技術は、同様の問題に直面するお客様のための新たな応用設計に活かされます。ムーググループ内の各部門や新たに加わったグループ企業の優れた技術、製品、アプリケーションについては、今回の記事だけでなく、今後のニュースレターでもご紹介していきます。

 

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欧州: Bernhard Zervas (電話) +49-7031-622-219  E-mail: bzervas@moog.com

北米・中米・南米: Allen Ruef (電話) +1-330-682-0010 x222  E-mail: aruef@moog.com

日本・アジア太平洋: 大野 光治 (電話) 0463-55-3767  E-mail: mohno@moog.com

Thomas M. Leaverは、Flo-Torkに20年勤務し、社内セールス部門の担当に始まり、現在ではセールスマネージャーおよび部門長を務めています。1987年にFlo-Torkに入社する以前は、J&L Steel社の生産管理責任者、Koppers社とDuff-Norton and Alliance Machine社の営業職を経験しています。ニュージャージー州トレントンのライダー大学で商業の学士号を取得しています。

Allen Ruefは、Moog Flo-Torkでアプリケーションエンジニアとして5年間勤務し、現在では、シニアセールスエンジニアとして活躍しています。機械工学の学士号を取得しており、油空圧を利用した工業用オートメーション分野において15年間の経験を有しています。

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