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最高レベルの応答性能を備えたMSDサーボドライブ

文書:Andreas Noll(ドライブ製品エンジニアリングマネージャー)

ムーグは、ドイツ ニュルンベルクの国際自動化技術・システム・コンポーネント見本市(SPS/IPC/Drives Exhibition)(2007年11月27~29日)において、モジュール式多軸プログラマブルモーションコントロールサーボドライブ(MSD)システムを発表しました。この新開発のMSDサーボドライブを発売することで、最適性能のカスタム仕様モーションコントロールソリューションを提供し、お客様固有のアプリケーションのニーズに対応します。 

MSDシステムは、ムーグのモーションコントローラ、サーボドライブ、ならびに共通電源ユニットから構成されます。このシステムは、プラスチックや金属の成形加工など、主要な一般産業用途の生産性、精度、柔軟性を向上し、さまざまな機械に共通のテクノロジーを導入するというニーズを満たすために開発されました。

柔軟性とパフォーマンスの高さ

MSDシステムの主な特長として、柔軟性と高いパフォーマンスを挙げることができます。MSDを試験導入されたお客様は、実際にこれらの利点を体感しています。MSDシステムは、自由にプログラミングできるモーションコントローラにより、対象産業分野の厳しいニーズを満たすことができます。このシステムはモジュール式アーキテクチャを採用しているため、ブラシレスPM交流モータ、トルクモータ、リニアモータ、非同期モータなどの広範なサーボモータを制御することができ、機械の設計に柔軟性をもたらします。MSDは、お客様の機械の生産性向上のニーズを、さまざまな高性能機能によって満たすことができるのです。

  • 電流、位置、速度の制御ループの高速なアップデートによって、最高レベルの応答性能と機械精度を実現します
  • フィールドバスを介して複数の通信プロトコルをサポートしているため、オープン型アーキテクチャと機械の多機能化を容易に実現できます
  • EtherCATによる高速内部通信で、複数動作軸の制御と調整を行います
  • IEC 61131プログラミングに対応した包括的なソフトウェアパッケージを使用すれば、制御ソフトウェアを迅速かつ簡単に作成できます
  • sin/cos型のシングルターン/マルチターンエンコーダなど、最大3台までのフィードバック装置に対応でき、高精度の位置決めを実施できます
  • 操作性にすぐれたGUIを搭載したPC対応パラメータ設定機能を備えています
  • IEC 61508準拠の高度な安全機能を搭載しています

MSDシステム

MSDシステムのメインモジュールには各種の重要なテクノロジーが搭載されており、単体あるいはシステムの構成要素として導入することにより、効果を発揮します。

MSDモーションコントローラ(図1)は、32bitの400MHzマイクロプロセッサをベースとしており、複数の軸の動作制御と同期を行い、ホストコンピュータやその他のPLCと通信することができます。内蔵のPLC機能を使えば、機械の全体あるいは一部分のプロセスを直接制御することも可能です。また、最大軸数30までの速度ループと位置ループを構成することができます。さらに、インプット装置やビジュアリゼーション装置の制御も実施できます。EtherCAT、SERCOS III、CANopen、CC Link、PROFINET、DP、PROFINETなど、さまざまな通信プロトコルに対応しており、内部通信は、EtherCATバスを使って行います。

(図1)MSDモーションコントローラインターフェース

このモーションコントローラは、ビジュアル環境のIEC 61131プログラミングをサポートし、簡単に操作できるライブラリを有しています。MathWorks/C/C++を使ってカスタム仕様の制御ループをプログラミングし、高度な制御を実現することもできます。これにより、アプリケーションに適したテンプレートを作成して、機械との統合性をさらに深めることができます。

MSDサーボドライブ(図2)は、電流ループ(PMW周波数4、8、12、16 kHz)や速度ループ、位置制御ループを構成することができ、高性能制御ループを実現するため、高速のデータ更新機能を備えています。電流ループでは62.5μs、速度および位置ループでは125μsのサイクルタイムで動作します。製品のサイズは、出力4~250 Armsの範囲内で7種類をご用意しています。標準のフィードバック装置としては、Resolver、EnDat、Hiperfaceをサポートしています(お客様のアプリケーションに固有の位置フィードバックにも個別に対応します)。また標準の空冷方式以外に、冷却プレート方式と水冷方式もオプションとしてご用意しています。

(図2)MSDサーボドライブインターフェース

MSDサーボドライブの高性能機能の一部を、以下に挙げます。

  • フィードフォワード構造による応答時間の高速化と追従誤差の縮小
  • 摩擦トルクとコギングトルクの補正
  • ボールネジの双方向の機械誤差補正
  • 特許取得済みの関連付け技術(ゲイン位相オフセット関連付け - GPOC)によるエンコーダとレゾルバの誤差補正(図3)

(図3)

  • 速度オブザーバ(図4): 実際の速度値にフィルタを適用する代わりに、速度オブザーバを利用可能。速度オブザーバは、速度フィルタと同様にノイズを低減させますが、速度信号の遅れが少ないという特長があります。この機能を利用すると、速度および位置コントローラのゲインを高めて追従誤差を低減できるだけでなく、単一のパラメータによるシンプルなチューニングが実現します。

(図4)

 

同ファミリーのサーボドライブのサイズと仕様は、図5に示す通りです。

(図5)MSDサーボドライブの技術仕様

お客様の複雑なアプリケーションで確実にコスト削減効果が得られるようにするため、ムーグでは、MSDシステムの一部として、各種サイズの共通電源供給ユニット(PSU)を開発しています。

このPSUは、エネルギー消費とコストを抑え、高精度の電流をアプリケーションに供給することでスケールメリットを得ることができます。PSUユニットは、アクティブな回生機能を備えているため、電源ネットワーク内部でのエネルギー再生が可能です。電圧をDC750Vまで高めることにより、アプリケーション側の電力需要の増加に確実に対応することができます。

柔軟性の高いアーキテクチャ

MSDシステムの柔軟性の高いアーキテクチャが効果を発揮する事例を2つ、以下に紹介します。

図6の事例1では、柔軟性の高いMSDシステムのモジュールがプロセスサイクルを制御し、必要な数の動作軸に対して電流、速度、位置の各制御ループを構成しています。プロセスサイクルの制御、位置および速度ループの遮断は、MSDのモーションコントローラまたはMSDサーボドライブ、あるいはその両方を使って実行されます。MSDシステムは、モーションコントロール機能を備えた包括的なソフトウェアパッケージを提供することによって、高性能機械アプリケーションのニーズを満たします。MSDは、フィールドバス上でさまざまな通信プロトコル(EtherCAT、CANopen、Profibus、DP、SercosIなど)に対応し、顧客固有のプロトコルにも対応できます。

(図6)使用事例(1): MSDモーションコントローラ、MSDサーボドライブ、MSD電源供給ユニット

2つ目の使用事例(図7)で、MSDシステムは、さまざまなタイプのサーボモータと、サードパーティー製の外部ホストまたは機械のPLCモジュールとを繋ぐ統合化プラットフォームとして機能します。MSDシステムは数多くのフィールドバス通信プロトコルに対応しているので、お客様が使用している既存の制御モジュールやモータとシームレスに統合化することができます。プロセスサイクルの制御は、多重ホストまたは機械のPLCモジュールによって実行されます。この事例でMSDサーボドライブは、電流ループや速度ループ、位置ループを閉じることができます。

(図7)使用事例(2): MSDサーボドライブ、MSD電源供給ユニット、外部PLC

著者について

Adreas Noll, Dipl. Ing.は、経験豊富なサーボモータとサーボドライブの製品開発エンジニアです。1992年から2002年にかけては、ドイツムーグの防衛制御システム(DCS)部門でエンジニアリングマネージャーを務め、2002年から2006年にかけては、一般産業用モータとドライブの製品マネージャーを務めました。2006年4月からはドライブ製品のエンジニアリングマネージャーを務め、製品ラインの新型サーボドライブの開発を担当しています。