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モーション制御技術を駆使し、高出力、高信頼、低エネルギー消費のプラスチックプレス機を実現
文書:Volker Treffler(ルクセンブルグムーグ エンジニアリングマネージャー)
3階建て相当の高さと36,000kN(8,000,000lbf)のプレス力を有し、19秒のうちに1サイクルを完了するようなプレス機のモーション制御――これは、金属成形を行うすべての会社にとって、困難な課題といえるでしょう。このプレス機は車のドア、パネル、さらには車全体に使用されるプラスチックといった、最新のプラスチック部材の製造に使用されます。プレス処理完了の時点で部材には高い完成度が求められるため、プレス機の制御はさらに複雑です。Dieffenbacher社とムーグは、これらの技術的要件を満たすべく、また省エネルギー、リモートの診断やサポートといったさらなるメリットを実現すべく、共同作業を進めてきました。
この記事では、ドイツに本拠地を置くSMC/GMT/LFT技術分野の大手メーカーであるDieffenbacherが製造する次世代型プラスチックプレス機をご紹介します。SMC/GMT/LFT技術は、繊維強化プラスチックの加工技術で、複雑な軽量部品の製造に使用されています。先端プラスチック化合物をこのプレス機で加工することで、部品表面まで緻密に仕上げられた極めて高品質の耐衝突性軽量部品を製造できます。
COMPRESS PLUSがもたらす利点
プラスチックプレス機は、繊維強化熱可塑性および熱硬化性プラスチックを直接加工するための機械です。自動車のドアやパネルなどの大きな部品の製造に使用されることの多い、高生産の高度な応用技術です。
- エネルギー:上昇の一途を辿るエネルギー価格に対応するため、Dieffenbacherとムーグは、新たな閉鎖装置や油圧技術の最適化によって、機械のエネルギー消費の最大50%の削減を実現しました。
- 品質:この次世代型プレス機には革新的な高性能モーション制御技術が採用されているため、最高品質の部品を製造することが可能です。油圧システムの剛性の高さとデジタル電子回路を有する高応答のサーボバルブにより、制御軸の高い精度と再現性が保証されています。
- 信頼性:この制御技術の概念はフィールドバス技術に基づいています。サーボバルブとセンサーにはEtherCATインターフェースを搭載しており、インターネットを介してリモートでの診断やサポートが可能です。
- コスト:コスト削減の要求の高まりに応えるべく、この次世代型プレス機には、高出力、高信頼、低エネルギー消費、優れた価格対性能比といった要素が1台に凝縮されています。
速度および力の技術仕様
このアプリケーションの課題の一つは、複雑な動きが急速に生じる場合の速度です。

図1-サイクル時間19秒
図1は一般的な36,000kN(8,000,000lbf)プレスのプレスサイクルの例を示しています。閉鎖時間:4秒、プレス時間および冷却:6秒、開放時間:4秒、装填/取り出し時間:5秒
金型の重さは約60トンですが、閉鎖動作は重力で駆動されるのでエネルギーは不要です。プレスサイクルの90%において、必要な力は最大プレス力のわずか10%に過ぎません。図2は、力・ストローク特性を示しています。

図2-力・ストローク特性
つまり、最大プレス力が必要なのはプロセスサイクルのうちでも短時間であるということです。一般に、垂直油圧プレスには、高速ストローク補助シリンダー(別名キッカーシリンダー)が備えられています。プレス機の上部にあるプレフィルバルブおよびタンクを使用し、プリチャージされたメインのプレスシリンダーと組み合わせて上側金型の速度と位置を制御します。上側ダイシリンダーの最大速度は、プレフィルバルブの大きさによって制限されます。
新しいプレス設計
力や速度のようなプロセスパラメータの解析を行った結果、プレス設計を最適化する新たな考え方が生まれました。図3は、油圧システムの新しい設計原理を示しています。

図3-油圧システムの原理
この新設計において、Dieffenbacherは上部金型に新しい考え方を採用し、メカニカルロック装置がプレス力をショートストロークシリンダーから送りこむようにすることで、従来の限界を克服しました。これによりプレフィルバルブやプレフィルタンクが不要になり、コストを削減するとともに、閉鎖および開放の最高速度を向上することができます。
- ショートストロークプレスシリンダーとメカニカルロック装置を備えたDieffenbacherの新しいプレス設計、 COMPRESS PLUS
- プレス力36,000kN(8,000,000lbf)を誇るCOMPRESS PLUSの技術データ:
| 高速閉鎖、開放速度 | 1,200 mm/s (47 in/s) |
| プレス速度 | 1- 80 mm/s (.04 -3.5 in/s) |
| 流量 | 最大3,300 L/min (872 gpm) |
| ストローク | 2,000 mm (78.73 in) |
| プレス力(中心荷重) | 36,000 kN (8,000,000 lbf) |
| プレス力(水平方向、最大) | 32,000 kN (7,200,000 lbf) |
ショートストロークプレスシリンダーと
メカニカルロック装置を備えた新設計のプレス機:
DieffenbacherのCOMPRESS PLUS
新設計の主な利点
ショートストロークプレスシリンダーでは、油量を大幅に削減できます。これにより、油圧システムの剛性が増し、固有振動数が高くなります。
統合型フェイルセーフ機能付きサーボ比例弁を位置監視されたアクティブカートリッジ弁と組み合わせて使用することで、プレス機の安全要件を満たすことができます。フェイルセーフ機能切換バルブが機械制御によってオフにされると、サーボ比例弁のメインステージでは、バネが中心に配置されます。電子回路が安全ウィンドウ内の安全位置を検出し、メインバルブのコネクターに有効な論理信号(>8.5V)を生成します。
アクティブカートリッジ設計により、アキュムレータ回路をオフにする際の閉鎖時間は150ミリ秒未満を実現し、機械安全基準をクリアしています。この技術から油圧部品と交差の少ない、小型のマニフォールド設計を実現できます。油圧回路の圧力低下が抑えられるため、油圧制御回路の効率を改善することができます。
メインプレスシリンダーマニフォールド
さらに、システム圧力を低圧/高圧アキュムレータに適合させることで、プレスモード中の圧力損失が大きく低減されます。高圧アキュムレータは、力の要件に応じて、プレスの最終ストローク時に起動されます。
まとめ
一般産業部門とDieffenbacherは、共同作業を通じて革新的な次世代型プラスチックプレス機を開発しました。エネルギー消費を大幅に削減するとともに厳しい技術要件を満たし、生産性や信頼性を向上しています。要求の厳しい高度なアプリケーションにおいては、強力・高速な処理、さらに部品に完成品レベルの高い品質が求められますが、ムーグは閉鎖装置の新しい機械設計とカスタマイズされた油圧制御技術を組み合わせることによって、こうした分野におけるお客様の将来の要件を満たします。
著者について
Volker Trefflerは、Bettembourgに拠点を置くルクセンブルグムーグのエンジニアリングマネージャーです。1995年6月にムーグに入社し、マニフォールドシステムのソリューションやカートリッジ弁の開発を担当しています。ドイツのクレーフェルト大学で機械工学の科学修士を取得しました。プレスおよび射出成形機の油圧システムの分野で25年以上の経験を有しています。







