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ムーグが提供する最先端の風車用ブレードピッチ制御技術
文書: Jochen Heuveldop(風力発電事業、セールスディレクター)
ピッチ制御(風車のブレードピッチ角の調節)におけるモーション制御には、風力発電分野特有の課題があります。例えば、発電量の最大化、異なる技術(油圧と電気など)の統合、過酷な運転条件(気温、振動など)への対応、20年以上の耐用寿命の全期間を通じた信頼性の確保などが求められます。
ムーグは風車メーカーと風力発電事業者に対して、ピッチ制御システム、スリップリング、ブレード負荷検知システムを統合した一体的なソリューションを提供しています。またムーグは、電動ピッチ制御システム分野で業界をリードするLTi REEnergy社(ドイツ・ウンナ市、中国・上海市)の買収を先ごろ完了し、風力発電関連の専門技術を大幅に強化しました。
発電用風車のブレードピッチ制御
風車ブレードの正確なピッチ角度制御は、風車の全体的な性能向上のために欠かせない技術です。運転中の風車ブレードは、厳しい環境条件にさらされる場合も多く、ブレードにかかる負荷と力は刻一刻と変化します。ピッチ制御は、発電量の増加だけでなく、数百万ドルもの投資となる風車の安全確保においても重要な役割を果たします。
風車のブレードピッチ制御システムは、主に以下の2つの機能を果たします。
- 回転ブレードの傾斜角度をモニタリングし、ブレードの回転速度を調節して、発電量を最大化する。
- 「風車停止コマンド」や「緊急フェザリングコマンド」に従ってブレードにかかる風の負荷を逃がし、回転速度を落として停止させ、風車の損傷を防ぎ安全を確保する。
ピッチ制御システムは、顧客が指定するいかなる環境でも高い信頼性を発揮しなければなりません。風車は気象条件の過酷な場所(中国の内モンゴル、米国やスペインの砂漠など)に設置されることが多く、こうした場所では、気温、湿度、振動などの大きな変化にさらされます。このため、ピッチ制御システムが円滑に稼働し高性能を発揮するには、風力発電用途に適した堅牢かつ信頼性の高いハードウェア設計が不可欠となります。
ブレードピッチ制御技術
最新のピッチ制御システムは、3つのアクチュエータを使って各ブレードを独立制御する設計になっています。各アクチュエータは、ブレードの目標位置に関するコマンドを、風車のメインコントローラからスリップリング経由で受け取ります。スリップリングは、回転ハブとナセルの間で電源およびデータ伝送を確実に行うために欠かせない装置です。
風車メーカーが最新の風車設計に採用する技術には、2つの異なる系統があります。1つは電動(EM)ブレードピッチ制御システムで、もう1つは油圧式(EH)ブレードピッチ制御システムです。
どちらを採用するかは、主に顧客のこれまでの使用経験によって決まります。現在、全世界の設置済み風車のうち半分は油圧式(EH)で、残り半分が電動式(EM)を採用しています。
ムーグはお客様のご要望に応じて、油圧式、電動式いずれのブレードピッチ制御システムとスリップリングシステムも提供することができます。ムーグがこれまで培ってきた油圧製品・ソリューションに関する豊富な経験に加え、この度LTi REEnergy社の風力発電事業の買収を完了したことで、実績豊富な電動ソリューションも提供することができるようになりました。
電動システムの場合、風車メーカーはアクチュエータの動作電源を交流と直流どちらにするか選ぶ必要があります。ムーグは、いずれの技術についても十分な経験を有しているため、お客さまは、風車それぞれの条件に合わせて最適なソリューションをお選びすることができます。

ムーグのピッチ制御ソリューション:電気式と油圧式いずれのシステム設計も可能
風力発電技術の粋を結集
ムーグは、最近完了した買収によってドイツ・ウンナ市に新たな施設を獲得し、既存の発電分野向けモーション制御ソリューションを一段と強化しました。同施設の前身は、風力発電ビジネスを展開していたLTi REEnergy社のドイツ本社です。Stromag AG社(ドイツ)の事業部門として設立された同社は、この施設を拠点に10年以上にわたり、風力発電や海流発電のブレードピッチ制御システム向けに安全性に優れたモーション制御ソリューションを提供してきました。
LTi REEnergy社の中国・上海市の施設(同じく風力発電に特化)も、ムーグは2009年6月に所得しました。現在、ウンナ市と上海市に合計200名以上のスタッフを擁し、世界中のお客様に向けて最新のピッチ制御技術および関連サービスをタイムリーに提供しています。
ムーグは世界各地に26か所の事業所を展開し、風力発電技術のエキスパートをスウェーデン、スペイン、日本、米国、インドに配置しています。
将来の展望
ピッチ制御システムには、主要な機能(発電性能の最大化と安全性の確保)に加え、風車の性能向上に寄与する各種の機能があります。その1つが、ブレード負荷検知システムを統合して各ブレードにかかる負荷を測定し、ブレードの個別ピッチ制御を行うことにより風車の性能を向上する技術です。ムーグは先ごろ、風力発電向け光ファイバーセンサー技術のトップ企業であるInsensys社を買収しました。これらのシステムにより個別ピッチ制御が可能となるだけでなく、着氷、ヨー角のずれ、ロータのバランス不良やブレード損傷などの検知もできるようになります。
ムーグの統合型ソリューションは、ピッチ制御システム、スリップリング、ブレード負荷検知システムを一体的に使用するためハブ内の部品点数を最小化することができ、風車の重量削減とライフサイクルコストの低減につながります。
ムーグは、300 kWから6 MWまで各種の風車向けに数多くのカスタムソリューションを提供してきました。これまでにムーグが扱った風車は世界各地で1万基以上に上ります。ムーグのソリューションは、最も安全で信頼性の高い有効な選択肢として業界トップ企業から高い評価を得ています。専門技術と世界的なサポートネットワークを駆使しながらお客様と密に連携し、風力発電における課題を解決に導くムーグは、お客様にとって理想的なパートナーとなることができます。
皆様のお役に立てる日を心待ちにしております。
著者について
Jochen Heuveldopは、独・ムーグ、風力発電事業担当セールスディレクターです。発電所や一般産業向けモーション制御分野で15年の経験を積んだ後、3年前にムーグに入社しました。



