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オーストラリア内陸部で活躍する世界一タフなブラシレスサーボモーターとドライブ

文書: Peter Clements(ムーグオーストラリア、西オーストラリア州およびクイーンズランド州マネージャー)

 

近代的な鉄道路線ネットワーでは、「ポイント制御装置」(POE)が重要な役割を果たします。旅客や貨物を運ぶ鉄道車両は、この装置によって、異なる路線の線路にスムーズに乗り入れて接続運転することができます。こうしたシステムは、寿命を終えるまでの間、極端な低温や高温、激しい降雨、高い湿度、落雷といった極めて過酷な環境に加え、架線を通る高圧電流によって発生する電磁干渉(EMI)にも常時さらされ続けます。

写真:ムーグは、線路沿いに設置されるポイント制御装置の油圧パワーユニット用に、特殊な堅牢仕様のブラシレスサーボモーターとドライブを設計しました。これらは2年間に渡って現場で使用され、故障は一切なく、100%の信頼性が実証されました。

 

POEの大部分は、線路のすぐ脇に設置された専用の小型油圧パワーユニット(HPU)によって駆動されます。近年、鉄道業界では、こうしたHPUに使われる電気モーターをブラシ付きモーターからブラシレスサーボモーターに変更しようとする動きが起きています。その目的は、ブラシと整流子の摩耗に関する信頼性の問題や、ブラシから出るカーボンくずがモーター巻線からベアリングに落下することによるモーター故障の問題を解決することです。これまで、この過酷なアプリケーションに対して多くの既製品ブラシレスモーターのメーカーが挑戦してきましたが、いずれも数か月しかもたないという結果に終わっています。

 

クイーンズランド鉄道とムーグの提携

クイーンズランド鉄道は、旅客、貨物ならびに石炭輸送を行うオーストラリア国内最大の鉄道会社です。年間旅客数は6,000万人を超え、路線の総延長距離は1万kmを超えます。クイーンズランド鉄道では、独自設計のブラシ付きモーターと新型の既製品のブラシレスモーターを試してきましたが、現場で良い結果を得ることはできませんでした。そこで同社は、過酷な環境に耐えながら、現場で実証された信頼性の高いソリューションを搭載したサーボモーターとドライブを新たに開発できないかという話をムーグオーストラリアに持ちかけました。

ムーグにとっての最大の課題は、ドライブの電子部品を以下の2つの深刻な脅威から保護できるソリューションをいかにして開発するかということでした。

  • 落雷によってドライブに誘発される数千アンペアの過度電流
  •  高圧架線から発生する粘着摩擦故障電流によってドライブに誘発される数百ボルトの高電圧

図:ムーグのブラシレスモーターは、新規のポイント切替装置のHPUに導入できるだけでなく、既存のHPUにも交換設置しやすい設計を採用しています。完全統合型のソリューションを搭載しており、現場の保守担当者が数分間の作業で取り付けられるようになっています。

 

ムーグオーストラリアのエンジニアリングチームはこの依頼を引き受け、10台のプロトタイプユニットを製作してクイーンズランド鉄道の線路上で現場テストを実施しました。テストは、列車の通過量が最も多く、気象条件が最も厳しい場所を都市部と地方から選んで行いました。

2年間に渡って現場で使用し続けた結果、10台のプロトタイプモーターはいずれも100%の信頼性を発揮し、一切故障しませんでした。なお、これらのモーターの多くが取り付けられていたのは、既製品のモーターが故障を繰り返したのと同じ場所のポイント切替制御装置の真横でした。このように徹底した現地テストで成功を収めたことから、ムーグのサーボモーターはクイーンズランド鉄道から正式な推奨を受け、後には「フルシグナル型式認証」も与えられました。この認証は、国際的な鉄道会社のコミュニティ内で広く認知されているもので、高いレベルが要求されます。

ムーグオーストラリアでは、クイーンズランド鉄道にサーボモーターを量産して供給体制の整備を進めています。これを通じ、同社積極的な施設更新プログラムにおける、今後数年間で既存のモーターをムーグのソリューションに置き換える取り組みを支援しています。

ムーグが提供するモーターは、現場の保守担当者が既存のモーターとそのまま入れ替えることによって数分間で設置を終了できるように設計されています。また、オプションとしてカスタム仕様のHPUトップカバーを設置することもでき、これによってわずかに大きめのムーグ製モーターアセンブリーを格納することもできます。

このプロジェクトでは、ムーグが高性能のモーション制御ソリューションを提供するために必要な以下の2つの条件を備えていることが示されました。

  1. 非常に過酷な条件で高い信頼性を発揮するソリューションを設計・製造する上で軸となる技能を備えていること。
  2. 業界最高品質の構成部品を取り揃えていること。今回のケースでは、主要構成部品であるFastact G 400シリーズブラシレスサーボモーターをムーグインドが製造し、基板に搭載する電子デバイスをムーグドイツが統合化して、ムーグオーストラリアはカスタム仕様の保護回路の設計と製造を担当しました。

ムーグでは、鉄道線路関連の設備を製造する国内外のメーカーからすでに数多くの問い合わせを受けています。こうした企業は、ムーグ製モーターがまさに世界共通の問題に対する信頼性の高いソリューションとなることを理解しているのです。

 

著者について

Peter Clements(ムーグオーストラリア、西オーストラリア州およびクイーンズランド州マネージャー)