ニュースレター

電動アクチュエータへの切り替えにより、タービンの性能を向上

文責: Fabian Erbe(ムーグ欧州サービス・エンジニアリング・マネージャー)、Benjamin Wehle(電気機械システムアプリケーション設計エンジニア)

現在、ガスタービンや蒸気タービンのメーカーは、タービン性能の向上を目指して、あらゆる可能性を追求しています。タービンの性能最大化とコストのかかるダウンタイムの最小化を進める方法について、ドイツのタービンメーカーから相談を受けたムーグのエンジニアは、彼らの力になれることを即座に確信しました。ムーグは、電動アクチュエーションに関する豊富な経験に基づき、このメーカーに固有の技術的要件を満たすカスタム仕様の統合パッケージを設計・導入し、その他のさまざまな技術的な利点も提供することに成功しました。

ムーグのアクチュエータを搭載した典型的なガスタービンの断面図

タービンモーション制御における電動サーボドライブ導入の利点

ムーグの提供する統合ソリューションでは、従来型の技術に代えて最先端のテクノロジーが導入され、以下に示すように、従来の油圧方式では得られなかった数多くの利点がもたらされました。

  • フィールドバス接続と自己診断機能を搭載したデジタルコントローラを使用することにより、ソリューションの信頼性が大幅に向上しました。
  • 不具合の可能性を事前にオペレータに通知するアラーム装置を導入し、位置決めエラー、過電流、環境要因(温度など)を抑制することで、ダウンタイムを削減しました。
  • ムーグのモーションコントローラに搭載されている自動プログラミング機能により、あらゆるパラメータ変更(例: ドライブの変更)を簡単に実行できるため、メンテナンスが簡単になりました。
  • 油圧部品の使用をやめたことにより、設備、エネルギー、運転にかかるコストを大幅に節減でき、全体的なオーナーシップコストの大幅削減につながりました。例えば、電動システムではスタンバイモードにおける消費エネルギーがほぼゼロになるため、1日24時間、年中無休で稼働する業界にとって、油圧システムと比べたエネルギーコストの削減幅は非常に大きくなります。

国際規格の要件を満たす危険環境用サーボモータを始め、ムーグには特殊設計の電動アクチュエータに関する中核技術と豊富な経験があります。ムーグは、こうした製品と機械設計技術を組み合わせることにより、タービン制御アプリケーションに対する顧客の幅広い要求に対して、独自のソリューションを提供することができます。

ソリューション

この成功をきっかけとして、この顧客とムーグの間に、お互いに有益で長期的な協力関係が築かれました。現在ムーグは、タービン各部の機能に対して電動アクチュエータを提供しており、1台につき最大で5軸の電動制御を提供することができます。各システムは、爆発性雰囲気内で使用する装置として設計され、最新の規格認証を取得しています。

提供内容

  1. ソフトウェアおよびアプリケーションのノウハウ
  2. モジュール式多軸プログラマブルモーション制御(MSD)
  3. モジュール式多軸プログラマブルモーション制御サーボドライブ(MSD)
  4. 防爆ダイナミック・ブラシレス・サーボモータ(ExDシリーズ)
  5. 機械部分の統合化のためのカスタム設計
  6. 操作バルブなど、顧客の仕様に合致する購入部品の調達
  7. 耐久性試験、検収試験、フィールドテスト、メンテナンス、トラブルシューティングを含む各種サポート

3種類の電動制御軸

ムーグの燃料測定システムに組み込まれた空気比制御バルブは、タービンに供給される空気量を調節する機能に加え、高性能の不具合警告機能とリモート監視機能も提供することによってメンテナンスを簡素化し、システムの診断も可能にしています。このアクチュエータは、タービンの排気システムに空気を追加することで、排気効率を高めるのに使われます。システムの駆動部には、ギヤボックス付きの動作特性の高いサーボモータが使われています。サーボモータには剛性の高いクランプカップリングが組み合わされ、高精度で再現性の高い位置決めを可能にしています。これらに加えて、顧客からはバルブが完全に閉じないようにすることが要求されましたが、これは、内部に機械的エンドストップを設けることによって実現されました。


空気比制御弁

ムーグの燃料ガスアクチュエータは、リニア動作の燃料ガスバルブを制御することにより、タービンに正確な量の燃料を供給します。バルブの位置決め制御ループを閉じるサーボモータには、非常に動作性能の高いものを採用しています。モータの回転は、高精度のボールスクリュースピンドルを搭載したアクチュエータにより、直線ストローク動作に変換されます。この機構は、高精度で再現性の高い位置決めを可能にしています。バルブのエンドストップ検知には、追加の安全機能として、近接スイッチが二重に使われています。


燃料ガスアクチュエータ

ムーグのインレットガイドベーンアクチュエータは、ガスタービンのインレットガイドベーン(入口案内羽根)の位置を制御します。これは、ガスタービンの制御要素の中でも最も重要なものの1つで、タービンの回転数は、このアクチュエータがガイドベーンをガス流の内側または外側方向に回転させることによって制御されます。サーボモータの回転は、ボールスクリューによって直線動作に変換されます。


インレットガイドベーン(IGV)アクチュエータ

モーション制御と性能

1台のタービンに搭載される最大5つのアクチュエータは、ムーグのモーションコントローラ1台によって制御されます。機械に搭載されているアクチュエータの数は、自動的に検出されます。上位のPLCに対してはProfibusDP経由で通信し、モーションコントローラからアクチュエータへの通信にはCANOpenプロファイルを使用しています。アクチュエータが故障した場合でも、MSCサーボコントローラに搭載されている機能によってパラメータ設定を実行できるので、追加のソフトウェアは必要ありません。アクチュエータが交換された場合には、自動的に検知されます。


MSDモーションコントローラとMSDサーボドライブ

通常、これらのシステムの検収試験は、ムーグからのサポートなしで、タービンメーカーのサービス部門が実施します。新たに製造されたタービンの立ち上げ時には、標準搭載の検収用インターフェースが使われます。

結論

このプロジェクトには、ドイツのベーブリンゲンにあるムーグの事業所から、電気、機械、ソフトウェア分野のエンジニアが参加しました。エンジニアたちは顧客と緊密に連携して作業を進め、すべての要件を満たす革新的なソリューションを開発しました。この共同プロジェクトは、強い目標意識を持つチームによって進められ、ムーグは難易度の高いアプリケーションに対して、要求された高い性能を実現することができました。ムーグは、今後も発電関連の市場において、難易度の高いプロジェクトに挑戦し続けます。

著者について

Fabian Erbeは、ドイツのベーブリンゲン事業所に勤務する欧州エンジニアリングサービスのマネージャーです。同氏は、ドイツのアーヘンにあるRheinsch Westfälische工科大学で油圧機械工学を学びました。

Benjamin Wehleは、ドイツのベーブリンゲン事業所に勤務する電気機械システムアプリケーションの設計エンジニアです。同氏は、ドイツのプフォルツハイムにある応用科学大学で機械工学を専攻しました。