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圧力下で安定を確保: 深海探査を支えるムーグの最新技術

最近の産業界のトレンドの1つとして、石油や天然ガスの探査と生産を目的とし、複雑化かつ高度化が進む機械の海底設置を挙げることができます。海上の波の動きにさらされる船舶から、ウインチやクレーンを使って非常に重い機械構造物を海底まで下ろす作業は、他に類を見ない大きな困難を伴います。

こうした作業を成功させるうえで重要なテクノロジーとして、船舶の上下の動きを電子的にモニタリングし、クレーンまたはウインチの自動制御によって相殺する「上下動補正」技術があります。この方法では、効率的にクレーンの吊りケーブルをリールから繰り出したり巻き取ったりすることで、装置を海底から浮いた状態に保ちます。ウインチのオペレータは、この自動補正機能に独自に追加する形で、ウインチドラムに送るコマンド信号を発生させることができます。これによってオペレータは、海底に対して、ゆっくりとした正確な動きを精密に制御することが可能になります。

システム模式図

Edda Fjord号

この技術の応用例として、4年前に、海洋ウインチを専門とするTTS社に提供した上下動補正アクチュエーションシステムを紹介します。このシステムは、ノルウェー・ハウゲスンのSensjo社が保有する船舶Edda Fjord号のクレーンに改造して取り付けられました。

Edda Fjord号

制御システム

このアプリケーションでは、元々あったクレーンホイストウインチシステムに対して、「ジガー・ウインチ」と呼ばれる滑車が追加されています。これは、油圧シリンダーとプーリーシステムを応用して、ウインチドラムと負荷の間の有効ケーブル長をアクティブに制御します。ウインチのオペレータは通常通りにウインチドラムを操作できますが、この新たに追加された滑車システムにより、船体の上下動を自動的に補正することができます。

Edda Fjord号/クレーン

クレーンホイストウインチ

このシステムには、特殊な機能として、補助シリンダーと油圧アキュムレータを使った負荷のサポート機能が導入されています。これによって、負荷を支えるエネルギーの無駄がなくなり、アクティブな補正システムの性能をさらに高めます。このアプリケーションでは、ジャイロおよび慣性参照トランスデューサによって船体の上下動を検知するMRU(モーション・リファレンス・ユニット)が重要な役割を果たしています。

ムーグとPMC Servi社のソリューション

ノルウェー国内のムーグと協力会社のPMC Servi社は、長年に渡って、石油・ガス業界向けに革新的なソリューションを提供してきました。これらは主に、大荷重に対する精密な油圧および電気アクチュエーションと、高性能電子コントローラによるソリューション構成です。

PMC Servi社は、大型油圧パワーパック、油圧マニフォールドシリンダー、ならびにオペレータ・インターフェースを含む電子制御から構成される、油圧アクチュエーションシステムを設計、製造しました。

油圧部分には、シリンダーを最大2.4m/secの速度で動かすのに必要な3600l/minの流量性能を備えたムーグのD665比例弁が使われています。この比例弁はまた、こうした大流量を0.2%の誤差範囲で調節でき、要求される非常に精密な位置制御を実行することができます。

ムーグD665比例弁

電子制御システムには、ムーグの最新型モーションコントローラであるデジタルサーボコントローラ(以下の写真)が使われています。

ムーグのモーションコントローラ

ムーグのコントローラは重要な役割を担っており、モーションリファレンスユニットとシリンダー位置センサの信号を比較して必要な補正信号を計算し、250hzの周期でD663バルブに送信します。

オペレータ・インターフェース画面

ムーグのモーションコントローラは、この上下動補正機能の制御に加えて、システムが正常に動作しているかどうかをモニタリングし、システムに不具合が起きた場合にはアラームを出して、負荷の安全を確保するためにフェールセーフ手順を実行します。

システムのメリット

Edda Fjord号に搭載されたシステムは稼働開始から4年が経過し、この間、北海やバルト海、アフリカ西岸など広い海域で運用されてきました。
このシステムは、波高±1.5mの条件下で最大200トン、また波高±3mの条件下では最大100トンの負荷に対応することができます。

このシステムは、実際の運用においては、稼働時に波の動きの95%を減衰させるという当初の設計仕様を容易に上回る性能を発揮しています。多くの場合、負荷を海底から10cm以内の高さに「浮かべた」状態で移動させることが可能となりました。

ユーザーにとって、この最先端の制御システムには、コスト削減と時間の節約につながるさまざまな利点があります。まず、海中で使用するアセンブリーの設置作業の際に、アセンブリー自体と、遠隔操作無人
探査機(ROV)等のその他の遠隔操作機器が損傷を受けるリスクがなくなります。さらには、海面が荒れた場合でも作業の継続、待ち時間の短縮、複雑な海底設置作業のコストの大幅削減が可能になります。

著者について

著者: Martin S. Jones、ニッチおよび新興市場マネージャー

Martin S. Jonesは、世界のモータースポーツ関連ビジネス担当と、ヨーロッパのニッチおよび新興市場のマーケット・マネージャーを兼務しています。ムーグでは、セールス担当およびアプリケーション・エンジニアとして30年間勤務し、可搬装置、海洋およびオフショア機器、ブロー成型、圧延装置を含む幅広い業界向けの業務に関わってきました。Jonesは、イースト・アングリア大学で物理学と経済学を専攻しました。