ファイバーブラシ型スリップリング

風力発電機のメンテナンスを予測可能に

既存部品の入れ換え

複合材料ブラシや金の単線接点を搭載したスリップリングは、ごく簡単にファイバーブラシ型スリップリングに交換することができます。しかし、新たな試みにはリスクが伴うという考えから、ファイバーブラシスリップリングへの入れ換えに消極的な発電事業者もいます。それでも、ファイバーブラシ技術を詳細に検討した事業者の間では、メンテナンスの必要がほとんどなくなり、リスク自体をも取り除けることが認識されています。

例えば、ファイバーブラシ接点は、他のタイプのスリップリングに比べ、ナセル内部の環境の影響をはるかに受けにくいという特長があります。ファイバーブラシスリップリングの保護シールは、IP65など各種の規格に適合し、装置を水分や埃から保護することができます。また、ファイバーブラシ接点は潤滑が不要なため、低温や高温の厳しい環境条件に強く、-55℃~+80℃の温度範囲内で使用可能です。さらに、相対湿度についても、0~100%の範囲で使用でき、相対湿度15~85%の範囲内でしか信頼性を保てない複合材料ブラシとは際立った対照をなしています。

風力発電用途に優れたファイバーブラシ スリップリング

まず複合材料のブラシは、リングが摩耗しないようブラシを優先的に摩耗させる設計であることから、ブラシ交換までの時間を最大化するためブラシを十分長くする必要があります。高出力・高信頼性が要求される用途においては、この材料には以下の3つの問題点があります。

風力発電業界の関係者の多くは、風車の様々な装置に信頼性の問題が存在することを認識しています。また現在では、運転中の装置の故障要因についても広く知られるようになっています。しかしながら、ファイバーブラシをはじめとしたスリップリング技術は、設計と性能が進歩しているにもかかわらず、風力発電事業者からあまり注目されていないのが現状です。

大型風車メーカーは、初めは複合材料ブラシを採用していましたが、接点から黒鉛複合材料の摩耗くずが発生するという問題が生じたため、その対策として金接点のスリップリングを導入しました。ファイバーブラシスリップリングはこれらよりもさらに優れた設計であるにもかかわらず、多くの風力発電所では今なお、旧式の技術に基づくスリップリングを年1回の頻度で交換しています。元々の装置設計に含まれていた部品を購入し続けているわけですが、これは言うなれば、不要なメンテナンスと交換のサイクルを繰り返していることに他なりません。

メンテナンスフリーのファイバーブラシ技術を搭載したスリップリングへの交換は、通常の定期メンテナンス時に行えば、わずか30分ほどで完了できます。風車の所有者、設計者、運転・メンテナンス担当者にとって、ファイバーブラシ技術を導入することは、稼働中の風車に発生する突発的なメンテナンスのリスクを減らすことにつながるでしょう。

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*この記事は初めてNorth American Clean Energy誌2009年9~10月号に掲載されました。出版者の承諾の上で、転載・翻訳されています。

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