ムーグのスリップリング向けファイバーブラシ技術
ファイバーブラシ接触技術とは?

ファイバーブラシとは、摺動電気接点のうち、特定の設計方式のものを指します。以下の図の通り、ファイバーブラシは金属繊維(ワイヤー)を集めて平行に束ね、一端を金属製のチューブに挿入するというシンプルな構造です。ブラシ束の固定されていない側は、リング表面の溝に接触するように配置されます。
ファイバーブラシのメリット
従来のスリップリング接点に優る確かなメリットが数多くあります。
- ブラシ束ごとに、リングに対して多数の接点がある
- 大気圧条件でも真空条件でも機能する
- 接触面の潤滑が不要
- 耐用寿命が長い
- ファイバー1本当たりの接触圧力が小さい
- 接触部分が摩耗しにくい
- 電源回路密度が高い
- 動的接触抵抗(ノイズ源)が少ない
- 高電流と低電流を伝送可能
- ガス放出が少ない
- 摩耗くずの発生量が極めて少ない
- 幅広い温度範囲
- ブラシおよびリングの表面速度の許容範囲が広い
高性能用途に最適
ムーグのファイバーブラシは、スリップリングに対する性能要求の高まりに応えるため、従来の摺動接触設計に代わる技術として開発されました。ファイバーブラシ技術は、以下のような多くの高性能用途で使われています。
- CTスキャン
- 高速試験
- 溶接ロボット
- 高速インライン検査
- レーダー
ムーグは1953年以来、軍事および航空宇宙業界向けに信頼性の高いスリップリングを提供しており、宇宙機、武器、航空機やその他の重要プロジェクトの要件に応える高品質・高精度製品のサプライヤーとして、長年にわたり高い評価を受けてきました。こうした高度な品質と技術は、ムーグの一般産業向け製品ラインアップにも生かされています。
ブラシ技術の比較
一般的なスリップリングは、潤滑されたモノフィラメントワイヤーブラシや自己潤滑性の複合材料ブラシなど、従来型の接触技術に基づき設計されています。このアプローチは一般産業用途で広く採用され成果も上げていますが、いくつかの欠点があります。
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スリップリング総合カタログ
様々な業界で用いられている一般産業用機種が約180種類集録。中空型、小型、イーサネットおよびHDビデオ対応、高速型、大型、分離型のスリップリングの説明や仕様に加え、スリップリング選定のためのガイドも掲載しました。